2026年8月25日火曜日

作曲家に聴く:ポール・クレストン(《うわさ》ほか)

Listening to the Composers: Paul Creston. Making Music Your Own, Book 6, Record 1

アメリカの出版社Silver Burdettから出されていた音楽の教科書用の音源からの1枚からご紹介します。10枚のレコードがまとめて、頑丈なプラスチックのキャリーバッグに収納されています。サイズ感を出すために、別の教育用のドーナツ盤レコードを置いてみました(以前にこちらで紹介させていただいたものになります)。

内容ですが、6年生のトムとナンシーがクレストンが、ある日の午後にポール・クレストンの仕事部屋を訪ね、インタビューをするという趣向です。「台本を読んでます感」ありありとはいえ、おそらく事前にやり取りをして、それを台本化してしゃべっているのではないかと推測しています。


トムがまず、クレストンの「music workshop」(クレストン自身は「studio」と呼んでいるそうです)の壁に飾ってあるサイン入り写真について尋ねます。これらも作曲家ですか、と。クレストンは、自分の作品を演奏してくれた歌手、ヴァイオリン奏者、指揮者など音楽家だそうです。インスピレーションを得るために飾ってあるのだとか。また棚には音楽書を置いているということです。ナンシーは「それじゃ、楽譜はどこに置いてあるんですか? 私のようにピアノの椅子の中ですか?」と尋ねます。クレストンは楽譜は多すぎて 、それはできないと返答。大きなクローゼットに自作のスコアを保存する棚があるということ。ピアノには頻繁に参照するピアノが積み上げてあるそうですが、奥さんはうれしくないそうです。


それで楽譜はすべてクレストンのものか、と子どもたちがたずねると、ほとんどは、ということで、見てみる?ということになります。ナンシーは《Two Babies》という曲を見つけます。「これは子守歌ですか?」と尋ねると「それはとても良い質問ですね。じゃあ私が弾いてみましょう。音楽そのものに答えてもらいましょう」ということで、クレストンのピアノが演奏されます。子どもたちは曲が気に入ったそうで、トムはこれは最初に書いた曲ですか? という質問をします。「違います」と答えて、最初に作った曲は8歳の時に書いたと付け加えます。

「その時は有名な作曲家になるなんて思ってなかったでしょ?」とトムが言うと、クレストンは「そうですね。作曲を天職にしようなんて大人になるまで全く考えてませんでした。それまでは作曲は趣味でした」とのこと。

ナンシーは、ピアノ以外に演奏できる楽器について尋ねると、クレストンはオルガンとヴァイオリンが演奏できると答えています。その他兄弟の話がちょっと挟まり、オーケストラ曲の《うわさ》の解説になります。伝言ゲームのように当初の旋律(あるいは音楽の「うわさ」)がどう変わっていくかについて説明し、最初に聴かれる旋律をピアノで弾いてみせます。そして途中で演奏される変形を弾いてみて、最初の旋律との違いを子どもたちに感じ取ってもらっています。その後、オーケストラ(モノラル録音)による抜粋が再生されます。

その録音で聴かれたセクションの一部を取り出し、ピアノで演奏し、同時に(対位法的に)鳴り響いていた2つの要素の違いを子どもたちに判定されていました。この辺りから、レコードを実際にクラスで聴かせたら脱落する子どもたちが出てきそうな予感…。模倣の話もしています…。オーグメンテーションの話もしています。分かるかなあ。

ということで、一通りクレストンが《うわさ》で使われている作曲技法を説明したところで、最後に全曲が演奏されます(9分40秒辺りから)。前段落に書いた説明については全部分からなくても、すでに主要主題を何度もクレストンのピアノで聴いているので、案外面白く聴けるかも、とは思います。

全部でおよそ16分弱の内容です。

ロン・ネルソン&ジョン・コリリアーノ作品集 (吹奏楽作品集)

The Compositions of Ron Nelson and John Corigliano. The Kent State University Wind Ensemble; John Boyd, conductor. Golden Crest ATH-5083 (The Authenticated Composers Series).

Golden Crestから "The Authenticated Composers Series" という一連のシリーズ物レコードがリリースされていました。作曲者の意図とはかけ離れた勝手な解釈による演奏が蔓延していたことを問題視して、作曲者が指揮あるいは監修した録音をレコードにして発売するというのが趣旨だったようです。何枚出ていたのかまでは知らないのですが、これはかなり後の方に出たのではないかと思っています。たいていは一人の作曲家に1枚なのですが、この1枚はなぜか2人の作曲家の作品で1枚という扱いです。二人とも、まだメジャーな存在じゃなかったのかな?

内容ですが、第1面にRon NelsonのMedieval Suiteというのが入っていて、Homage to Leonin、Homage to Perotin、Homage to Machautという3楽章からなっています。吹奏楽曲だけど、割と声が前面に出てくる感じ。吹奏楽に詳しくない私は「こんな曲も作ってたのね〜」という感じですが、ネルソンの代表作の一つに考える人も少なくないようです。第2面は Rocky Point Holiday、打楽器が優しめに入っていて軽快。

コリリアーノは Gazebo Dances。4手ピアノのための作品を作曲者自身が編曲したもの。オケ版もありますね。

なおこのレコード、コリリアーノの音楽がメジャーになる前の録音なのでしょうか? ジャケットにもネルソンの写真はあってもコリリアーノの写真がありません。

2026年8月19日水曜日

ベル・テレフォン・アワー(ドナルド・ヴォーヒー指揮ベル・テレフォン・アワー管弦楽団)収録風景+テレビ中継方式紹介映画

The Bell Telephone Hour (1946) Music, Television & The Bell System | 16mm Film Scan


たまたま面白そうな動画をみつけたので、ご紹介します。

YouTubeのアップロード主のコメントによると、こちらの映像は、もともとは1946年2月に放送されたラジオ番組『ベル・テレフォン・アワー』なんだそうで、それを映画とした映像がこれなんだそうです。

オープニングでは、テーマソングが演奏され、アナウンサーがしゃべりだすタイミングを指揮者が与えているのが興味深いです。つづいて演奏されるのはアントニオ・カルロス・ゴメス (Antônio Carlos Gomes, 1836-1896) 作曲のオペラ・バッロ《イル・グアラニー Il Guarany》序曲だそうです。曲が演奏される時に、それを背景音楽として、録音の背後で働くベルのスタッフについての説明が入っています。

間に長めのベル社の宣伝がはいります。テレビ・ネットワークについての説明が、電話やラジオのネットワークの話に遡ってなされていますね。

そして最後は、ヨゼフ・ホフマンがベートーヴェンの《皇帝》協奏曲の第3楽章を演奏しています。鍵盤の上から撮影しているのも面白いです。番組の冒頭アナウンスではラフマニノフの作品にも言及されていますが、それは収録されていないようです。

エンディング曲では、ブース内からアナウンサーにキューが出ていますね。

2026年8月17日月曜日

ミシガン州立大学シンフォニック・バンド (ケネス・G・ブルームクイスト指揮)

YouTube→MICHIGAN STATE UNIVERSITY SYMPHONIC BAND - Volume 1 LP (1975)

アルフレッド・リードの《「ハムレット」のための音楽》を聴いていますが、第1曲は序奏の恐ろしさと主部に入ってからの「熱さ」が良いですね。もちろんコンクール向けカットはなしです。高校2年の時に演奏したのが懐かしいです。もちろんこんなに上手では全くないですが…。

2026年8月2日日曜日

オーマンディ 1957年録音の《グランドキャニオン》

Eugene Ormandy and the Philadelphia Orchestra - The Columbia Stereo Collection 1958 -1963 (→アマゾン

ユージン・オーマンディ&フィラデルフィア管弦楽団『コロンビア・ステレオ・コレクション1964-1983』で、1957年録音の《グランド・キャニオン》を聴きました。

オーマンディは、このグローフェ作品を1967年に再録音していて、そちらは廉価盤LPレコードで持っていました。レコード・ガイドなんかでバーンスタイン盤とともに推薦されていたので買ったのだと思います。ただ、個人的好みとしては、曲のスケール感は大きいものの、特に<豪雨>楽章が重々しく、ピアノの上下するアルペジオがねっとりした感じで演奏されているのが好みではなかったりもします。その後、デジタルの新録音として発売されたドラティの重々しさも好みにはなれず(なぜかDaccaの輸入盤LPを持ってました。石丸電気で買ったのかな?)。

実は私が《グランド・キャニオン》で最初に好きになった演奏がフェリックス・スラトキン指揮ハリウッド・ボウル交響楽団の演奏でした。確か諸井誠さんが司会をされていたころのNHK-FM放送のクラシックのリクエスト番組であったように記憶しています。そのスラトキン盤は長いこと探していたのですが、今はなき富山市総曲輪のフクロヤでは、通常の分類ではなく廉価盤だけまとめて置いてある別コーナーにあることが分かり、みつけて買ったときには感動したものです。

さてオーマンディ1957年録音ですが、第1曲の<日の出>からして、きらびやかなオーケストラの響きが、エネルギッシュな息づいかいの中にいきいきと表現されています。そしてクライマックスの畳み掛けにいたるまで、怒涛の流れは断然10年後の録音よりも好みです。ハープは実演よりも大きめに録音されているように思いますが、それが泡のように広がる感じは、録音のなせる技かと思います。

第4曲の《日没》の独特の歌わせ方も魅力的です。1967年録音は楽譜に忠実な感じがしますが、57年録音は、もっと自由で、ムード音楽的な性格が強いように思われました。

全体にクラシック然とした解釈を好みの方は、上記ドラティ盤やオーマンディ67年録音が良いのだと思います。また一般的にもそちらの方が定評が高いのかもしれません。ただ私は旧録が良いのかな、と思いました。

2026年7月25日土曜日

アメリカ音楽メモ (2026-05-03〜2026-07-25)

ウィリアム・グラント・スティル:《古きカリフォルニア》(1941) ピエール・モントゥー指揮ニューヨーク・フィルハーモニック 自主制作盤 An American Celebration Volume 1, CD 4.

1944年の録音。ニューヨークフィルとモントゥが録音した。3つの録音のうちの1つだそうだ。そしてモントゥと縁の誓い、フランス物のレパートリーではないものも彼が演奏できると言うことを証明したかったようだと、ラジオでは紹介されていた。

曲は神秘的な、霧のような弦楽器の背後に木管楽器始まるところから始まり、ハリウッドインディアン・タムタム鳴聞こえてきたり、ホルンの平行進行が聞こえてきたりで、西部劇風の部分もある。その後、ムーディーな接続部の後、ラテン風の舞曲(マリアッチ? マラカスが入っている)で、その後は再びムーディーな展開だった。(2026年5月3日)

アンドリュー・ノーマン:《プレイ》(2013) マサイアス・ピンチャー指揮シンシナティ交響楽団 Music Now 2017から

ものすごく混乱した感情を覚える。騒がしい顔素敵な作品かなと思い、確かに演奏するのは大変そうだなと第一印象を持った。しかし次第に穏やかな感じもしみ出てきて、エンディングはそれほど悪くないのかなと思った (2026年5月5日)

A. リード&東京佼成ウインド・オーケストラ 第2組曲 レコーディング リハーサル風景 佼成出版社 KOR-8012 (LP) →YouTube

リード初来日の時の録音は2枚組LPだったのがCD1枚になり、「A. リードは語る」と「レコーディング リハーサル風景」という第4面部分はカットされていた。一応中古レコードでは持ってはいる。技術的な問題というのは当然プロの演奏団体なのでないのだけれども、楽譜の特定の箇所についてリードが指示しているところが非常に興味深い。「なるほどそういう風に演奏するのね」的な。レコードには当然日本語訳が付属しているのだけれども、YouTubeでも自動翻訳が出せるので大丈夫かもしれない。(2026年7月25日)

2023年9月5日火曜日

ドン・ギリスのラジオ番組

1964年に、ドン・ギリスは週一で自作を紹介するラジオ番組をホストしていたのですね。すごいや (2026-07-25 リンク更新)。

https://archive.mith.umd.edu/airwaves/programs/the-music-of-don-gillis/

トッホの珍しい録音集

In Memoriam Ernst Toch.  Educational Media & The Ernst Toch Fund of the UCLA Foundation EMA-101 (LP).
Pinocchio Overture.  Berlin Radio Orchestra; Ljubomir Romanski, conductor.
Big Ben Variations.  RAI Orchestra; Rudolf Kempe, conductor.
First Symphony, Op. 72 (1949/50).  Vienna Symphony Orchestra; Herbert Haefner, conductor.

エルンスト・トッホ (1887-1964) はウィーン生まれの作曲家だが、ユダヤ系であり、ナチスが政権を取るとともにアメリカに亡命。南カリフォルニア大学にて教鞭を取り、映画の音楽も作曲している。

このレコードは、いまはもうなくなってしまったボストンの中古レコード店 Looney Tunesで購入したもの。ヨーロッパで録音されたモノラルの、しかし名前の知られた指揮者・オーケストラによって録音されたもの(おそらくライブ録音ではないかと思う)。

《ビッグベン変奏曲》は、学校のチャイムのメロディにもなっている有名な旋律をテーマにした変奏曲。レオン・ボッツスタイン指揮NDR交響楽団のやジョン・ヴィクトロン・ユー指揮フィルハーモニア管弦楽団が録音したCDがあるようだ。ルドルフ・ケンペ指揮っていうのがすごいね。

2017年8月24日木曜日

The Village Voice が紙媒体での発行を休止

The New York Timesの記事で見ました。NY周辺の現代アートを追うのに便利なタブロイド紙(という扱いで良いのかな?)のThe Village Voice が紙媒体での発行をやめるという記事がありました。

フロリダ在住時には、時々買っては記事を読んでいました。さすがにこういうのを日本でほいほい読むという感じではなかったのですが、今後はオンライン上で展開してくのでしょうか?

After 62 Years and Many Battles, Village Voice Will End Print Publication

ブルックリン音楽アカデミーのアーカイヴ

ブルックリン音楽アカデミー (Brooklyn Academy of Music) は現代アート・シーンを考えるのに見逃せないアート・センターではないかと思いますが、その貴重な資料がインターネット上で公開されるということが Open Culture で記事になっていました。

Leon Levy Digital Archive


2017年8月22日火曜日

Menotti: The Boy Grew Too Fast

Menotti, The Boy Grew Too Fast.  TER Limited CDTER 1125.

メノッティ氏同席のもとに録音とあるCD。42分あまりの短い子どものためのオペラ。体が大きいために子どもたちから嫌がられた転校生。先生の勧めで発明家に頼んで体を小さくしてもらうことに。ただしみんなと歩調を合わせないと元に戻り、もう一度小さくはできないという条件がついている(他の生徒が「オペラが嫌い」といった、自分も嫌いなフリをせよというような感じ)。同伴した先生は、発明家が少年にこの条件を告げたときは外にいたため、この経緯は知らないことに)。

学校に小さくなって戻ってきた転校生はみんなから歓迎されて良かったと思っていたら、突然テロリストがやってきた。先生は「子どもたちを助けて下さい」と懇願。「だれか子どものうち一人を残したら他の生徒は解放してやる」とテロリスト。先生は「誰か志願してくれないか」と言うが、子どもたちはもちろん嫌だという。転校生は発明家の忠告を無視し(みんなと歩調を合わせず)、自分が人質になると宣言。

もちろん発明家の忠告どおり、転校生は元のデカい自分に戻ってしまうのだが、大きくなった彼は、なんとテロリストをやっつけてしまった。

ということで、クラスから今度は英雄扱いされ、すべては一件落着。先生は自分は自分であることを大切にしなさいという教訓を述べてメデタシメデタシ。

他愛もない、ソープオペラの一エピソードみたいな内容だけど、発明家は(退屈な)オペラをずっと聞いてて突然会場から登場したり、少年が小さくなるシーンでは電子音が使われたり、いろいろ工夫ありで、なかなか楽しい内容だった。こんなオペラも作ってるのね。へええ。

そういえばメノッティは《助けて!助けて!宇宙人がやってきた!》でも電子音を使ってたね。

2017年7月21日金曜日

ピストン:組曲《不思議な笛吹き》(フィードラー、1939年録音)

アーサー・フィードラー指揮ボストン・ポップス管弦楽団(1939年録音) 米Victor 12595~96(M-621)(SP2枚)、グラモフォン EB-142~13(SP2枚)、Camden CAL-145(LP)(1939年6月29日録音)

バレエ《不思議な笛吹き》の初演者による、組曲版の録音。パレードのところの騒ぎがすごい! YouTube動画に上がっているのは、おそらくCamdenのLPだろう。

2017年2月27日月曜日

ピストン:ヴァイオリン協奏曲 (バスウェル、クチャール、1998年録音)

ピストン:ヴァイオリン協奏曲第1番 (1939)、ヴァイオリンと管弦楽のための《ファンタジア》 (1970)、ヴァイオリン協奏曲第2番 (1960) ジェームズ・バスウェル(ヴァイオリン)、テオドレ・クチャル指揮ウクライナ国立交響楽団 Naxos 8.559003 <録音=1998年5月>

Naxos Music Libraryリンク→http://ml.naxos.jp/album/8.559003

"Allegro energico" とあるように、第1楽章は、いきいきとしたリズムの第1主題と、弦楽器としてのヴァイオリンの叙情的な側面を意識した第2主題からなるソナタ形式の楽章といったところか。1939年作曲ということだけど、いま聴いても、みずみずしい。古典的な形式は意識しているのだけれど、堅苦しい感じではない。

第2番の協奏曲は、初期よりも叙情的になっているのかな?