2026年8月2日日曜日

オーマンディ 1957年録音の《グランドキャニオン》

Eugene Ormandy and the Philadelphia Orchestra - The Columbia Stereo Collection 1958 -1963 (→アマゾン

ユージン・オーマンディ&フィラデルフィア管弦楽団『コロンビア・ステレオ・コレクション1964-1983』で、1957年録音の《グランド・キャニオン》を聴きました。

オーマンディは、このグローフェ作品を1967年に再録音していて、そちらは廉価盤LPレコードで持っていました。レコード・ガイドなんかでバーンスタイン盤とともに推薦されていたので買ったのだと思います。ただ、個人的好みとしては、曲のスケール感は大きいものの、特に<豪雨>楽章が重々しく、ピアノの上下するアルペジオがねっとりした感じで演奏されているのが好みではなかったりもします。その後、デジタルの新録音として発売されたドラティの重々しさも好みにはなれず(なぜかDaccaの輸入盤LPを持ってました。石丸電気で買ったのかな?)。

実は私が《グランド・キャニオン》で最初に好きになった演奏がフェリックス・スラトキン指揮ハリウッド・ボウル交響楽団の演奏でした。確か諸井誠さんが司会をされていたころのNHK-FM放送のクラシックのリクエスト番組であったように記憶しています。そのスラトキン盤は長いこと探していたのですが、今はなき富山市総曲輪のフクロヤでは、通常の分類ではなく廉価盤だけまとめて置いてある別コーナーにあることが分かり、みつけて買ったときには感動したものです。

さてオーマンディ1957年録音ですが、第1曲の<日の出>からして、きらびやかなオーケストラの響きが、エネルギッシュな息づいかいの中にいきいきと表現されています。そしてクライマックスの畳み掛けにいたるまで、怒涛の流れは断然10年後の録音よりも好みです。ハープは実演よりも大きめに録音されているように思いますが、それが泡のように広がる感じは、録音のなせる技かと思います。

第4曲の《日没》の独特の歌わせ方も魅力的です。1967年録音は楽譜に忠実な感じがしますが、57年録音は、もっと自由で、ムード音楽的な性格が強いように思われました。

全体にクラシック然とした解釈を好みの方は、上記ドラティ盤やオーマンディ67年録音が良いのだと思います。また一般的にもそちらの方が定評が高いのかもしれません。ただ私は旧録が良いのかな、と思いました。

2026年7月25日土曜日

アメリカ音楽メモ (2026-05-03〜2026-07-25)

ウィリアム・グラント・スティル:《古きカリフォルニア》(1941) ピエール・モントゥー指揮ニューヨーク・フィルハーモニック 自主制作盤 An American Celebration Volume 1, CD 4.

1944年の録音。ニューヨークフィルとモントゥが録音した。3つの録音のうちの1つだそうだ。そしてモントゥと縁の誓い、フランス物のレパートリーではないものも彼が演奏できると言うことを証明したかったようだと、ラジオでは紹介されていた。

曲は神秘的な、霧のような弦楽器の背後に木管楽器始まるところから始まり、ハリウッドインディアン・タムタム鳴聞こえてきたり、ホルンの平行進行が聞こえてきたりで、西部劇風の部分もある。その後、ムーディーな接続部の後、ラテン風の舞曲(マリアッチ? マラカスが入っている)で、その後は再びムーディーな展開だった。(2026年5月3日)

アンドリュー・ノーマン:《プレイ》(2013) マサイアス・ピンチャー指揮シンシナティ交響楽団 Music Now 2017から

ものすごく混乱した感情を覚える。騒がしい顔素敵な作品かなと思い、確かに演奏するのは大変そうだなと第一印象を持った。しかし次第に穏やかな感じもしみ出てきて、エンディングはそれほど悪くないのかなと思った (2026年5月5日)

A. リード&東京佼成ウインド・オーケストラ 第2組曲 レコーディング リハーサル風景 佼成出版社 KOR-8012 (LP) →YouTube

リード初来日の時の録音は2枚組LPだったのがCD1枚になり、「A. リードは語る」と「レコーディング リハーサル風景」という第4面部分はカットされていた。一応中古レコードでは持ってはいる。技術的な問題というのは当然プロの演奏団体なのでないのだけれども、楽譜の特定の箇所についてリードが指示しているところが非常に興味深い。「なるほどそういう風に演奏するのね」的な。レコードには当然日本語訳が付属しているのだけれども、YouTubeでも自動翻訳が出せるので大丈夫かもしれない。(2026年7月25日)

2023年9月5日火曜日

ドン・ギリスのラジオ番組

1964年に、ドン・ギリスは週一で自作を紹介するラジオ番組をホストしていたのですね。すごいや (2026-07-25 リンク更新)。

https://archive.mith.umd.edu/airwaves/programs/the-music-of-don-gillis/

トッホの珍しい録音集

In Memoriam Ernst Toch.  Educational Media & The Ernst Toch Fund of the UCLA Foundation EMA-101 (LP).
Pinocchio Overture.  Berlin Radio Orchestra; Ljubomir Romanski, conductor.
Big Ben Variations.  RAI Orchestra; Rudolf Kempe, conductor.
First Symphony, Op. 72 (1949/50).  Vienna Symphony Orchestra; Herbert Haefner, conductor.

エルンスト・トッホ (1887-1964) はウィーン生まれの作曲家だが、ユダヤ系であり、ナチスが政権を取るとともにアメリカに亡命。南カリフォルニア大学にて教鞭を取り、映画の音楽も作曲している。

このレコードは、いまはもうなくなってしまったボストンの中古レコード店 Looney Tunesで購入したもの。ヨーロッパで録音されたモノラルの、しかし名前の知られた指揮者・オーケストラによって録音されたもの(おそらくライブ録音ではないかと思う)。

《ビッグベン変奏曲》は、学校のチャイムのメロディにもなっている有名な旋律をテーマにした変奏曲。レオン・ボッツスタイン指揮NDR交響楽団のやジョン・ヴィクトロン・ユー指揮フィルハーモニア管弦楽団が録音したCDがあるようだ。ルドルフ・ケンペ指揮っていうのがすごいね。

2017年8月24日木曜日

The Village Voice が紙媒体での発行を休止

The New York Timesの記事で見ました。NY周辺の現代アートを追うのに便利なタブロイド紙(という扱いで良いのかな?)のThe Village Voice が紙媒体での発行をやめるという記事がありました。

フロリダ在住時には、時々買っては記事を読んでいました。さすがにこういうのを日本でほいほい読むという感じではなかったのですが、今後はオンライン上で展開してくのでしょうか?

After 62 Years and Many Battles, Village Voice Will End Print Publication

ブルックリン音楽アカデミーのアーカイヴ

ブルックリン音楽アカデミー (Brooklyn Academy of Music) は現代アート・シーンを考えるのに見逃せないアート・センターではないかと思いますが、その貴重な資料がインターネット上で公開されるということが Open Culture で記事になっていました。

Leon Levy Digital Archive


2017年8月22日火曜日

Menotti: The Boy Grew Too Fast

Menotti, The Boy Grew Too Fast.  TER Limited CDTER 1125.

メノッティ氏同席のもとに録音とあるCD。42分あまりの短い子どものためのオペラ。体が大きいために子どもたちから嫌がられた転校生。先生の勧めで発明家に頼んで体を小さくしてもらうことに。ただしみんなと歩調を合わせないと元に戻り、もう一度小さくはできないという条件がついている(他の生徒が「オペラが嫌い」といった、自分も嫌いなフリをせよというような感じ)。同伴した先生は、発明家が少年にこの条件を告げたときは外にいたため、この経緯は知らないことに)。

学校に小さくなって戻ってきた転校生はみんなから歓迎されて良かったと思っていたら、突然テロリストがやってきた。先生は「子どもたちを助けて下さい」と懇願。「だれか子どものうち一人を残したら他の生徒は解放してやる」とテロリスト。先生は「誰か志願してくれないか」と言うが、子どもたちはもちろん嫌だという。転校生は発明家の忠告を無視し(みんなと歩調を合わせず)、自分が人質になると宣言。

もちろん発明家の忠告どおり、転校生は元のデカい自分に戻ってしまうのだが、大きくなった彼は、なんとテロリストをやっつけてしまった。

ということで、クラスから今度は英雄扱いされ、すべては一件落着。先生は自分は自分であることを大切にしなさいという教訓を述べてメデタシメデタシ。

他愛もない、ソープオペラの一エピソードみたいな内容だけど、発明家は(退屈な)オペラをずっと聞いてて突然会場から登場したり、少年が小さくなるシーンでは電子音が使われたり、いろいろ工夫ありで、なかなか楽しい内容だった。こんなオペラも作ってるのね。へええ。

そういえばメノッティは《助けて!助けて!宇宙人がやってきた!》でも電子音を使ってたね。

2017年7月21日金曜日

ピストン:組曲《不思議な笛吹き》(フィードラー、1939年録音)

アーサー・フィードラー指揮ボストン・ポップス管弦楽団(1939年録音) 米Victor 12595~96(M-621)(SP2枚)、グラモフォン EB-142~13(SP2枚)、Camden CAL-145(LP)(1939年6月29日録音)

バレエ《不思議な笛吹き》の初演者による、組曲版の録音。パレードのところの騒ぎがすごい! YouTube動画に上がっているのは、おそらくCamdenのLPだろう。

2017年2月27日月曜日

ピストン:ヴァイオリン協奏曲 (バスウェル、クチャール、1998年録音)

ピストン:ヴァイオリン協奏曲第1番 (1939)、ヴァイオリンと管弦楽のための《ファンタジア》 (1970)、ヴァイオリン協奏曲第2番 (1960) ジェームズ・バスウェル(ヴァイオリン)、テオドレ・クチャル指揮ウクライナ国立交響楽団 Naxos 8.559003 <録音=1998年5月>

Naxos Music Libraryリンク→http://ml.naxos.jp/album/8.559003

"Allegro energico" とあるように、第1楽章は、いきいきとしたリズムの第1主題と、弦楽器としてのヴァイオリンの叙情的な側面を意識した第2主題からなるソナタ形式の楽章といったところか。1939年作曲ということだけど、いま聴いても、みずみずしい。古典的な形式は意識しているのだけれど、堅苦しい感じではない。

第2番の協奏曲は、初期よりも叙情的になっているのかな?

2017年2月23日木曜日

ウィリアム・シューマン:交響曲第3番 (オーマンディ、米Columbia録音)

ユージン・オーマンディ指揮フィラデルフィア管弦楽団 米Columbia ML 4413(LP)

1951年3月11日録音の、モノラルLP。第3交響曲の商業録音としては、最初のもののようだ。しかし1960年に廃盤になって以来、再発売もない。 LPの両面に同曲のみを収録した贅沢なカット。

実はこのLPを入手するまで、ずっと新旧のバーンスタイン盤で慣れてきたところがあって(シカゴ響Boxのスラトキンのは聴いていない)、最初は彼の演奏 との違いばかりが耳に入ってきた。またオーケストラの技術もパワフルなニューヨーク・フィルほどなくて、シューマン作品には多少辛いものを感じたのも正直なところ。しかし何回か聴いてみると、少しずつオーマンディの解釈が解きほぐされてくるようではある。バーンスタインの演奏をもっと忘れることができれば、より容易に受け入れることも、あるいは可能になるのかもしれない。(02.6.15)

(02.7.5. 追記)だんだん耳が慣れてきたのか、この演奏も気に入るようになった。ライブでこのくらいの演奏が聴けたら、かなり満足すると思う。

(2016.2.13.追記 YouTubeにアップロードされていたので、以下に貼り付けておく)。


2017年2月22日水曜日

ガーランド:《マタチン・ダンス》

ピーター・ガーランド:《マタチン・ダンス》 ロナルド・エリクソン、ジョン・テニー(ヴァイオリン)、ピーター・ガーランド(瓢箪の鳴り物)Cold Blue E6(25cm LP)
現在はこちらのオムニバス盤に収録 → Cold Blue CD0014 ("The Complete 10-inch Series from Cold Blue")

ガーランドというと、アメリカ先住民の音楽に興味を持っている作曲家ということを聞いている。この作品に使われているシャカシャカした音の楽器も、先住民が使っているものではなかっただろうか。しかし音楽語法的には、ライヒの《テヒリーム》を思わせるような部分と、漠然とした民謡風の部分が続いていくといった印象。きれいで聴きやすい音楽だ。(2000.4.19.)


2017年2月20日月曜日

作曲家の覚書:フィリップ・グラスとオペラ制作

A Composer’s Notes: Philip Glass and the Making of an Opera.  Orange Mountain [DVD].

グラス第3作目のオペラ、《アクナーテン》の制作過程を追うドキュメンタリー映画(モノラル)。かつてVAIからビデオが出ていたが、グラス自身のレーベルOrange MountainからDVD化された。

映画はまず、グラスの音楽語法に大きく影響したクラシックの基本的トレーニングやインド音楽との出会い(特に作曲家と演奏家の関係の違 い、「劇音楽(舞台音楽)」の発想など)などがインドの美しい映像を通して紹介されたあと、オペラにたどり着いた経緯が述べられる。そして前2作から学ん だことを下地に第3作をどのように作っていったのかが、インスピレーションの段階から丁寧に描かれていく。エジプトに実際に行って得たこと、エジプト学者 からアクナーテンが実際に読んだと言われる歌のテキストをもらったこと、様々な演出家や指揮者との打ち合わせ、意見の交換など、興味深い内容に溢れてい る。

オペラ《アクナーテン》の制作過程を映像とともに追うと、グラスがどのように共同作業として1つのプロダクションを作っていくのかが分 かるし、オペラに取り上げた題材に対する柔軟な考え(あるいは「つめ」の甘さ?)が垣間見られたりする。とくに演出家から浴びせられる厳しい質問にグラス がたじたじになる場面があり、そこで彼がむしろ演出家から意見を自由に求めていく態度が見られる。彼は音楽表現との関連がステージの演出に見られれば、そ の解釈は認められるという考えをもっているようだ。

したがってこのビデオに収められているシュトゥットガルトとヒューストンのプロダクションは、これが本当に同じ作品なのかと思えるほど 違っている。政治的思想が暗示されていることを前面に打ち出し身振りの一つ一つまで細かく演出する前者と、音楽と歴史的題材をもとに即興的に物語りを紡ぎ 出す後者。それが結果としてどのように舞台を作り上げたのかということかが分かる。

このオペラが成功だったのかどうかは、初演後の大きな拍手とブーイングの錯綜からも察せられるように議論が分かれるだろうが、これがグラスにとって初めてオーケストラを使って本格的に書いたオペラであることから、作曲家自身にとってはこの作品が大きな節目を作っていたらしい(前作の《サチャグラハ》にもオーケストラを起用したが、あれはグラス・アンサンブルのための音楽をオーケストラに直しただけのものだったという。また、物語が単純なファンタジーとして音楽とともに投射されたことに不満もあったようで、《アクナーテン》では、もっと継続的な物語の流れを前面に打ち出したかったらしい)。

グラスの作品はオーケストラにとって、とても挑戦的だったらしい。何度も同じ音符を繰り返し演奏することにより、演奏家が集中力を保持することができなることが多いという。オランダでは、あまりにも演奏しにくい音楽ということで裁判沙汰にもなったらしい(映画ではヒマそうに雑誌のページ をめくっているコントラバス奏者も写っているが)。
とはいえグラスの音楽は、この《アクナーテン》のように物語や映像の補助があると接近しやすくなってくる(あるいはビデオでは長いオペ ラが数分刻みの抜粋になっているから我慢できたのかな?)。一度このビデオを見て、実際にそれを体験する価値もあるのではないだろう…か。

以下、YouTubeにあった抜粋の動画である。

(1998.8.18.執筆、2005.5.3. 改訂ならびに画像追加、2014.12.10. YouTube動画追加、2016.8.18. DVDへのリンク付加ならびに動画変更、2017.2.15. 情報追加)

2017年2月16日木曜日

ミルトン・バビット:『ソロと小デュエット』 現代音楽グループ

ミルトン・バビット:『ソリ・エ・ドゥエッティーニ (独奏と小二重奏曲)』 現代音楽グループ

《アラウンド・ザ・ホルン》、《ホワールド・シリーズ》《フルート独奏のみ》、《くどい小言》、《ビートゥン・パス》、《プレイ・イット・アゲイン・サム》《独奏と小二重奏曲》、《メリスマータ》 ザ・グループ・フォー・コンテンポラリー・ミュージック

NMLリンク → http://ml.naxos.jp/album/8.559259

バビットの音楽は漫然と聴くとランダムな音の連続のように聴こえる。精巧なセリエリズムよって音が配列されながらも不協和音程の跳躍が多く、一聴しただけでは拍節感がつかみにくいからだろう。だが音にじっくりと立ち向かうと、一音ごとに細かく指示されたニュアンスに驚嘆し、突然その音楽が耳に入ってくることもある。ウィリアム・パーヴィスによる《アラウンド・ザ・ホルン》 (アメリカのスポーツ番組のタイトルでもある) は楽器演奏の難しさを考えれば、かなりの超絶技巧曲になるし、スネア・ドラムのみによる《お説教》は、その背後にある音楽理論を考えるほどタイトルがユーモラスに感じられる。ギターやピアノなどの例外はあるが、ほとんどが単音を主に発する楽器なので、音の重なりよりは線的要素が強調される傾向がある。おそらくバビットをそれを意識して創作に挑んだのだろう。短い作品も多いのでバビット入門には適したディスクといえるのかもしれない。

なお、本CDは、かつてKoch Internationalからリリースされていた音源を移行発売したものである。(2006年7月執筆、2017.2.25. 追記)