2026年8月25日火曜日

作曲家に聴く:ポール・クレストン(《うわさ》ほか)

Listening to the Composers: Paul Creston. Making Music Your Own, Book 6, Record 1. Silver Burdett Records. <発売=1971年>

アメリカの出版社Silver Burdettから出されていた音楽の教科書用の音源からの1枚からご紹介します。10枚のレコードがまとめて、頑丈なプラスチックのキャリーバッグに収納されています。サイズ感を出すために、別の教育用のドーナツ盤レコードを置いてみました(以前にこちらで紹介させていただいたものになります)。

内容ですが、6年生のトムとナンシーが、ある日の午後にポール・クレストンの仕事部屋を訪ね、インタビューをするという趣向です。「台本を読んでます感」ありありとはいえ、おそらく事前にやり取りをして、それを台本化してしゃべっているのではないかと推測しています。


トムがまず、クレストンの「music workshop」(クレストン自身は「studio」と呼んでいるそうです)の壁に飾ってあるサイン入り写真について尋ねます。これらも作曲家ですか、と。クレストンは、自分の作品を演奏してくれた歌手、ヴァイオリン奏者、指揮者など音楽家だそうです。インスピレーションを得るために飾ってあるのだとか。また棚には音楽書を置いているということです。ナンシーは「それじゃ、楽譜はどこに置いてあるんですか? 私のようにピアノの椅子の中ですか?」と尋ねます(日本だとあまり見かけないかもしれませんが、アメリカだとピアノの座る箇所が上に開いて、そこに楽譜などを入れるスペースができる椅子があるんです)。クレストンは楽譜は多すぎて 、それはできないと返答。大きなクローゼットに自作のスコアを保存する棚があるということ。ピアノには頻繁に参照する楽譜が積み上げてあるそうですが、奥さんはうれしくないそうです。


それで楽譜はすべてクレストンのものか、と子どもたちがたずねると、ほとんどは、ということで、見てみる?ということになります。ナンシーは《Two Babies》という曲を見つけます。「これは子守歌ですか?」と尋ねると「それはとても良い質問ですね。じゃあ私が弾いてみましょう。音楽そのものに答えてもらいましょう」ということで、クレストンのピアノが演奏されます。子どもたちは曲が気に入ったそうで、トムはこれは最初に書いた曲ですか? という質問をします。「違います」と答えて、最初に作った曲は8歳の時に書いたと付け加えます。

「その時は有名な作曲家になるなんて思ってなかったでしょ?」とトムが言うと、クレストンは「そうですね。作曲を天職にしようなんて大人になるまで全く考えてませんでした。それまでは作曲は趣味でした」とのこと。

ナンシーは、ピアノ以外に演奏できる楽器について尋ねると、クレストンはオルガンとヴァイオリンが演奏できると答えています。その他兄弟の話がちょっと挟まり、オーケストラ曲の《うわさ》の解説になります。伝言ゲームのように当初の旋律(あるいは音楽の「うわさ」)がどう変わっていくかについて説明し、最初に聴かれる旋律をピアノで弾いてみせます。そして途中で演奏される変形を弾いてみて、最初の旋律との違いを子どもたちに感じ取ってもらっています。その後、オーケストラ(モノラル録音)による抜粋が再生されます。

その録音で聴かれたセクションの一部を取り出し、ピアノで演奏し、同時に(対位法的に)鳴り響いていた2つの要素の違いを子どもたちに判定されていました。この辺りから、レコードを実際にクラスで聴かせたら脱落する子どもたちが出てきそうな予感…。模倣の話もしています…。オーグメンテーションの話もしています。分かるかなあ。

ということで、一通りクレストンが《うわさ》で使われている作曲技法を説明したところで、最後に全曲が演奏されます(9分40秒辺りから)。前段落に書いた説明については全部分からなくても、すでに主要主題を何度もクレストンのピアノで聴いているので、案外面白く聴けるかも、とは思います。

全部でおよそ16分弱の内容です (2026-08-29誤字訂正)。

ロン・ネルソン&ジョン・コリリアーノ作品集 (吹奏楽作品集)

The Compositions of Ron Nelson and John Corigliano. The Kent State University Wind Ensemble; John Boyd, conductor. Golden Crest ATH-5083 (The Authenticated Composers Series).

Golden Crestから "The Authenticated Composers Series" という一連のシリーズ物レコードがリリースされていました。作曲者の意図とはかけ離れた勝手な解釈による演奏が蔓延していたことを問題視して、作曲者が指揮あるいは監修した録音をレコードにして発売するというのが趣旨だったようです。何枚出ていたのかまでは知らないのですが、これはかなり後の方に出たのではないかと思っています。たいていは一人の作曲家に1枚なのですが、この1枚はなぜか2人の作曲家の作品で1枚という扱いです。二人とも、まだメジャーな存在じゃなかったのかな?

内容ですが、第1面にRon NelsonのMedieval Suiteというのが入っていて、Homage to Leonin、Homage to Perotin、Homage to Machautという3楽章からなっています。吹奏楽曲だけど、割と声が前面に出てくる感じ。吹奏楽に詳しくない私は「こんな曲も作ってたのね〜」という感じですが、ネルソンの代表作の一つに考える人も少なくないようです。第2面は Rocky Point Holiday、打楽器が優しめに入っていて軽快。

コリリアーノは Gazebo Dances。4手ピアノのための作品を作曲者自身が編曲したもの。オケ版もありますね。

なおこのレコード、コリリアーノの音楽がメジャーになる前の録音なのでしょうか? ジャケットにもネルソンの写真はあってもコリリアーノの写真がありません。

2026年8月19日水曜日

ベル・テレフォン・アワー(ドナルド・ヴォーヒー指揮ベル・テレフォン・アワー管弦楽団)収録風景+テレビ中継方式紹介映画

The Bell Telephone Hour (1946) Music, Television & The Bell System | 16mm Film Scan


たまたま面白そうな動画をみつけたので、ご紹介します。

YouTubeのアップロード主のコメントによると、こちらの映像は、もともとは1946年2月に放送されたラジオ番組『ベル・テレフォン・アワー』なんだそうで、それを映画とした映像がこれなんだそうです。

オープニングでは、テーマソングが演奏され、アナウンサーがしゃべりだすタイミングを指揮者が与えているのが興味深いです。つづいて演奏されるのはアントニオ・カルロス・ゴメス (Antônio Carlos Gomes, 1836-1896) 作曲のオペラ・バッロ《イル・グアラニー Il Guarany》序曲だそうです。曲が演奏される時に、それを背景音楽として、録音の背後で働くベルのスタッフについての説明が入っています。

間に長めのベル社の宣伝がはいります。テレビ・ネットワークについての説明が、電話やラジオのネットワークの話に遡ってなされていますね。

そして最後は、ヨゼフ・ホフマンがベートーヴェンの《皇帝》協奏曲の第3楽章を演奏しています。鍵盤の上から撮影しているのも面白いです。番組の冒頭アナウンスではラフマニノフの作品にも言及されていますが、それは収録されていないようです。

エンディング曲では、ブース内からアナウンサーにキューが出ていますね。

2026年8月17日月曜日

ミシガン州立大学シンフォニック・バンド (ケネス・G・ブルームクイスト指揮)

YouTube→MICHIGAN STATE UNIVERSITY SYMPHONIC BAND - Volume 1 LP (1975)

アルフレッド・リードの《「ハムレット」のための音楽》を聴いていますが、第1曲は序奏の恐ろしさと主部に入ってからの「熱さ」が良いですね。もちろんコンクール向けカットはなしです。高校2年の時に演奏したのが懐かしいです。もちろんこんなに上手では全くないですが…。

2026年8月2日日曜日

オーマンディ 1957年録音の《グランドキャニオン》

Eugene Ormandy and the Philadelphia Orchestra - The Columbia Stereo Collection 1958 -1963 (→アマゾン

ユージン・オーマンディ&フィラデルフィア管弦楽団『コロンビア・ステレオ・コレクション1964-1983』で、1957年録音の《グランド・キャニオン》を聴きました。

オーマンディは、このグローフェ作品を1967年に再録音していて、そちらは廉価盤LPレコードで持っていました。レコード・ガイドなんかでバーンスタイン盤とともに推薦されていたので買ったのだと思います。ただ、個人的好みとしては、曲のスケール感は大きいものの、特に<豪雨>楽章が重々しく、ピアノの上下するアルペジオがねっとりした感じで演奏されているのが好みではなかったりもします。その後、デジタルの新録音として発売されたドラティの重々しさも好みにはなれず(なぜかDaccaの輸入盤LPを持ってました。石丸電気で買ったのかな?)。

実は私が《グランド・キャニオン》で最初に好きになった演奏がフェリックス・スラトキン指揮ハリウッド・ボウル交響楽団の演奏でした。確か諸井誠さんが司会をされていたころのNHK-FM放送のクラシックのリクエスト番組であったように記憶しています。そのスラトキン盤は長いこと探していたのですが、今はなき富山市総曲輪のフクロヤでは、通常の分類ではなく廉価盤だけまとめて置いてある別コーナーにあることが分かり、みつけて買ったときには感動したものです。

さてオーマンディ1957年録音ですが、第1曲の<日の出>からして、きらびやかなオーケストラの響きが、エネルギッシュな息づいかいの中にいきいきと表現されています。そしてクライマックスの畳み掛けにいたるまで、怒涛の流れは断然10年後の録音よりも好みです。ハープは実演よりも大きめに録音されているように思いますが、それが泡のように広がる感じは、録音のなせる技かと思います。

第4曲の《日没》の独特の歌わせ方も魅力的です。1967年録音は楽譜に忠実な感じがしますが、57年録音は、もっと自由で、ムード音楽的な性格が強いように思われました。

全体にクラシック然とした解釈を好みの方は、上記ドラティ盤やオーマンディ67年録音が良いのだと思います。また一般的にもそちらの方が定評が高いのかもしれません。ただ私は旧録が良いのかな、と思いました。