2017年1月16日月曜日

ピストン:交響曲第3番 (ハンソン指揮、1954年録音)

ハワード・ハンソン指揮イーストマン・ロチェスター交響楽団 米Mercury MG 40010(LP)
ピストン:交響曲第3番(ハンソン盤)

クーゼヴィッツキー音楽財団による委嘱。1947年の夏に完成。ピストン(1894~1976)の音楽は、基本的に機能和声を使っているようには聞こえない。しかし、独自に調的な音の中心を作ろうとしていることは確かだ。レコードの解説書には、ピストン自身が、それぞれの楽章の調を明示している。

壮大な第1楽章は、ドラマ的な構築力に長けていて、聴き応えのある音楽。第2楽章は、三部構成によるスケルツォ。エネルギッシュな主部と、ややエキゾチックな感じの副部(ハープの伴奏が印象的)との、面白い対比が楽しめる。第3楽章は、定石通りの緩徐楽章。しかしテンポには何度か揺れが あり、着実な主題展開を披露しているようだ。ダイナミクスに関しても、巧妙に、しかしきっちりとした積み上げがあり、冒頭からは考えられない程の、思いきった広がりが見られる。第4楽章は、ピストンお得意のパワフルなフィナーレ。オーケストレーション(ドラムの使い方など)に特徴がある。シンコペーションの多用も、すっかりお馴染み。

ピストンの音楽には、カラフルなオーケストレーションはそれほど見られない。しかし手堅い構成と力強さで、無駄のない作品を書く。

ハンソンの演奏は、メリハリを利かせ、各楽章の性格を引き出すことに成功している。

なお、三浦淳史氏は、この作品を三楽章形式としているが(『音楽芸術』11巻10号 [1953年10月])、楽章は4つある。

YouTubeにも同音源がアップロードされていた。

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