2017年1月20日金曜日

ウィリアム・シューマン:弦楽四重奏曲第4番

William Schuman, String Quartet No. 4 (1950), Juilliard String Quartet (Columbia ML 4493, LP)

 カップリングはIngolf DahlのConcert a Tre (1947) 。タッシもこのダールの曲を録音していたはず。

W. シューマンの第4は、これが唯一の録音ではないだろうか。 Harmonia Mundi FranceにはLydian Quartet が3曲録音しているが、4番は含まれてなかったはずだ。その4番の最終楽章には、第3交響曲のエネルギッシュな感じは残っているが、その他の楽章は、6番交響曲以降の作品 につながっていく渋い作風だ。過渡的な存在なのだろうか。

YouTubeにジュリアード四重奏団による演奏があった。これはコロンビアのLP音源(モノラル)とはライブ(ステレオ)の演奏だ。



2017年1月16日月曜日

ピストン:交響曲第3番 (ハンソン指揮、1954年録音)

ハワード・ハンソン指揮イーストマン・ロチェスター交響楽団 米Mercury MG 40010(LP)
ピストン:交響曲第3番(ハンソン盤)

クーゼヴィッツキー音楽財団による委嘱。1947年の夏に完成。ピストン(1894~1976)の音楽は、基本的に機能和声を使っているようには聞こえない。しかし、独自に調的な音の中心を作ろうとしていることは確かだ。レコードの解説書には、ピストン自身が、それぞれの楽章の調を明示している。

壮大な第1楽章は、ドラマ的な構築力に長けていて、聴き応えのある音楽。第2楽章は、三部構成によるスケルツォ。エネルギッシュな主部と、ややエキゾチックな感じの副部(ハープの伴奏が印象的)との、面白い対比が楽しめる。第3楽章は、定石通りの緩徐楽章。しかしテンポには何度か揺れが あり、着実な主題展開を披露しているようだ。ダイナミクスに関しても、巧妙に、しかしきっちりとした積み上げがあり、冒頭からは考えられない程の、思いきった広がりが見られる。第4楽章は、ピストンお得意のパワフルなフィナーレ。オーケストレーション(ドラムの使い方など)に特徴がある。シンコペーションの多用も、すっかりお馴染み。

ピストンの音楽には、カラフルなオーケストレーションはそれほど見られない。しかし手堅い構成と力強さで、無駄のない作品を書く。

ハンソンの演奏は、メリハリを利かせ、各楽章の性格を引き出すことに成功している。

なお、三浦淳史氏は、この作品を三楽章形式としているが(『音楽芸術』11巻10号 [1953年10月])、楽章は4つある。

YouTubeにも同音源がアップロードされていた。