2017年2月23日木曜日

ウィリアム・シューマン:交響曲第3番 (オーマンディ、米Columbia録音)

ユージン・オーマンディ指揮フィラデルフィア管弦楽団 米Columbia ML 4413(LP)

1951年3月11日録音の、モノラルLP。第3交響曲の商業録音としては、最初のもののようだ。しかし1960年に廃盤になって以来、再発売もない。 LPの両面に同曲のみを収録した贅沢なカット。

実はこのLPを入手するまで、ずっと新旧のバーンスタイン盤で慣れてきたところがあって(シカゴ響Boxのスラトキンのは聴いていない)、最初は彼の演奏 との違いばかりが耳に入ってきた。またオーケストラの技術もパワフルなニューヨーク・フィルほどなくて、シューマン作品には多少辛いものを感じたのも正直なところ。しかし何回か聴いてみると、少しずつオーマンディの解釈が解きほぐされてくるようではある。バーンスタインの演奏をもっと忘れることができれば、より容易に受け入れることも、あるいは可能になるのかもしれない。(02.6.15)

(02.7.5. 追記)だんだん耳が慣れてきたのか、この演奏も気に入るようになった。ライブでこのくらいの演奏が聴けたら、かなり満足すると思う。

(2016.2.13.追記 YouTubeにアップロードされていたので、以下に貼り付けておく)。


2017年2月22日水曜日

ガーランド:《マタチン・ダンス》

ピーター・ガーランド:《マタチン・ダンス》 ロナルド・エリクソン、ジョン・テニー(ヴァイオリン)、ピーター・ガーランド(瓢箪の鳴り物)Cold Blue E6(25cm LP)
現在はこちらのオムニバス盤に収録 → Cold Blue CD0014 ("The Complete 10-inch Series from Cold Blue")

ガーランドというと、アメリカ先住民の音楽に興味を持っている作曲家ということを聞いている。この作品に使われているシャカシャカした音の楽器も、先住民が使っているものではなかっただろうか。しかし音楽語法的には、ライヒの《テヒリーム》を思わせるような部分と、漠然とした民謡風の部分が続いていくといった印象。きれいで聴きやすい音楽だ。(2000.4.19.)


2017年2月20日月曜日

作曲家の覚書:フィリップ・グラスとオペラ制作

A Composer’s Notes: Philip Glass and the Making of an Opera.  Orange Mountain [DVD].

グラス第3作目のオペラ、《アクナーテン》の制作過程を追うドキュメンタリー映画(モノラル)。かつてVAIからビデオが出ていたが、グラス自身のレーベルOrange MountainからDVD化された。

映画はまず、グラスの音楽語法に大きく影響したクラシックの基本的トレーニングやインド音楽との出会い(特に作曲家と演奏家の関係の違 い、「劇音楽(舞台音楽)」の発想など)などがインドの美しい映像を通して紹介されたあと、オペラにたどり着いた経緯が述べられる。そして前2作から学ん だことを下地に第3作をどのように作っていったのかが、インスピレーションの段階から丁寧に描かれていく。エジプトに実際に行って得たこと、エジプト学者 からアクナーテンが実際に読んだと言われる歌のテキストをもらったこと、様々な演出家や指揮者との打ち合わせ、意見の交換など、興味深い内容に溢れてい る。

オペラ《アクナーテン》の制作過程を映像とともに追うと、グラスがどのように共同作業として1つのプロダクションを作っていくのかが分 かるし、オペラに取り上げた題材に対する柔軟な考え(あるいは「つめ」の甘さ?)が垣間見られたりする。とくに演出家から浴びせられる厳しい質問にグラス がたじたじになる場面があり、そこで彼がむしろ演出家から意見を自由に求めていく態度が見られる。彼は音楽表現との関連がステージの演出に見られれば、そ の解釈は認められるという考えをもっているようだ。

したがってこのビデオに収められているシュトゥットガルトとヒューストンのプロダクションは、これが本当に同じ作品なのかと思えるほど 違っている。政治的思想が暗示されていることを前面に打ち出し身振りの一つ一つまで細かく演出する前者と、音楽と歴史的題材をもとに即興的に物語りを紡ぎ 出す後者。それが結果としてどのように舞台を作り上げたのかということかが分かる。

このオペラが成功だったのかどうかは、初演後の大きな拍手とブーイングの錯綜からも察せられるように議論が分かれるだろうが、これがグラスにとって初めてオーケストラを使って本格的に書いたオペラであることから、作曲家自身にとってはこの作品が大きな節目を作っていたらしい(前作の《サチャグラハ》にもオーケストラを起用したが、あれはグラス・アンサンブルのための音楽をオーケストラに直しただけのものだったという。また、物語が単純なファンタジーとして音楽とともに投射されたことに不満もあったようで、《アクナーテン》では、もっと継続的な物語の流れを前面に打ち出したかったらしい)。

グラスの作品はオーケストラにとって、とても挑戦的だったらしい。何度も同じ音符を繰り返し演奏することにより、演奏家が集中力を保持することができなることが多いという。オランダでは、あまりにも演奏しにくい音楽ということで裁判沙汰にもなったらしい(映画ではヒマそうに雑誌のページ をめくっているコントラバス奏者も写っているが)。
とはいえグラスの音楽は、この《アクナーテン》のように物語や映像の補助があると接近しやすくなってくる(あるいはビデオでは長いオペ ラが数分刻みの抜粋になっているから我慢できたのかな?)。一度このビデオを見て、実際にそれを体験する価値もあるのではないだろう…か。

以下、YouTubeにあった抜粋の動画である。

(1998.8.18.執筆、2005.5.3. 改訂ならびに画像追加、2014.12.10. YouTube動画追加、2016.8.18. DVDへのリンク付加ならびに動画変更、2017.2.15. 情報追加)

2017年2月16日木曜日

ミルトン・バビット:『ソロと小デュエット』 現代音楽グループ

ミルトン・バビット:『ソリ・エ・ドゥエッティーニ (独奏と小二重奏曲)』 現代音楽グループ

《アラウンド・ザ・ホルン》、《ホワールド・シリーズ》《フルート独奏のみ》、《くどい小言》、《ビートゥン・パス》、《プレイ・イット・アゲイン・サム》《独奏と小二重奏曲》、《メリスマータ》 ザ・グループ・フォー・コンテンポラリー・ミュージック

NMLリンク → http://ml.naxos.jp/album/8.559259

バビットの音楽は漫然と聴くとランダムな音の連続のように聴こえる。精巧なセリエリズムよって音が配列されながらも不協和音程の跳躍が多く、一聴しただけでは拍節感がつかみにくいからだろう。だが音にじっくりと立ち向かうと、一音ごとに細かく指示されたニュアンスに驚嘆し、突然その音楽が耳に入ってくることもある。ウィリアム・パーヴィスによる《アラウンド・ザ・ホルン》 (アメリカのスポーツ番組のタイトルでもある) は楽器演奏の難しさを考えれば、かなりの超絶技巧曲になるし、スネア・ドラムのみによる《お説教》は、その背後にある音楽理論を考えるほどタイトルがユーモラスに感じられる。ギターやピアノなどの例外はあるが、ほとんどが単音を主に発する楽器なので、音の重なりよりは線的要素が強調される傾向がある。おそらくバビットをそれを意識して創作に挑んだのだろう。短い作品も多いのでバビット入門には適したディスクといえるのかもしれない。

なお、本CDは、かつてKoch Internationalからリリースされていた音源を移行発売したものである。(2006年7月執筆、2017.2.25. 追記)


2017年2月15日水曜日

バーンスタイン:ウェスト・サイド・ストーリー関連の新著

Julia Foulkes, A Place for Us: "West Side Story" and New York.  The University of Chicago Press.

バーンスタインの『ウェスト・サイド・ストーリー』関連の本は何冊かすでにありますが、ご参考に。

http://press.uchicago.edu/ucp/books/book/chicago/P/bo21447457.html

A Place for Us: From its Broadway debut to the Oscar-winning film to countless amateur productions, West Side Story is nothing less than an American touchstone—an updating of Shakespeare vividly realized in a rapidly changing postwar New York. That vision of postwar New York is at the heart of Julia L. Foulkes’s A Place for Us. A lifelong fan of the show, Foulkes became interested in its history when she made an unexpected discovery: scenes for the iconic film version were shot on the demolition site destined to become part of the Lincoln Center redevelopment area—a crowning jewel of postwar urban renewal. Foulkes interweaves the story of the creation of the musical and film with the remaking of the Upper West Side and the larger tale of New York’s postwar aspirations. Making unprecedented use of director and choreographer Jerome Robbins’s revelatory papers, she shows the crucial role played by the political commitments of Robbins and his fellow gay, Jewish collaborators, Leonard Bernstein and Arthur Laurents. Their determination to evoke life in New York as it was actually lived helped give West Side Story its unshakable sense of place even as it put forward a vision of a new, vigorous, determinedly multicultural American city. Beautifully written and full of surprises for even the most dedicated West Side Story fan, A Place for Us is a revelatory new exploration of an American classic.

2017年2月14日火曜日

ガーシュイン:《ラプソディ・イン・ブルー》ほか (マズア、小澤、ダウンズ、1970・77年録音)

《ラプソディ・イン・ブルー》ジークフリート・シュテエキヒト(ピアノ)、クルト・マズア指揮ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団、《パリのアメリカ人》小澤征爾指揮サンフランシスコ交響楽団、ピアノ協奏曲へ調 ロベルト・シドン(ピアノ)エドワード・ダウンズ指揮ロンドン交響楽団 Deutsche Grammophon [Resonance] 427 203-2 (下・左側)

関内のディスクユニオンの安売りコーナーにて「クルト・マズアがガーシュインを振っているの?」と思って買ってきたのが下の左側のCD(割引10%を合わせて279円なり)。まだジャズが生まれたばかりで、明確にスイングなり、どろっとしたブルース感覚が前面に出ない、むしろポピュラー音楽のメインストリームに躍り出ていた頃のジャズとしては、なかなかスタイリッシュに演奏されていて、好感触。《ラプソディ・イン・ブルー》のフレッシュさが残っているというか。HMVのサイトを見たところ、録音は1981年 ライプツィヒとなっていた。このCDには書かれていない。著作権表示だけみると1977年になってしまうけど…。

小澤/サンフランシスコ響は、もうちょっと録音が後ということもあるのか、弦楽器に厚みがあり、後半の盛り上がりなども含めて、なかなかホットな感じ。もっと楽しめる演奏はあるかもしれないけど。

ここまでの2曲は、下の右側のCDでも聴ける(下右側には小澤の《ウェスト・サイド物語》の<シンフォニック・ダンス>が入っていて、これはなかなかの名演)。

ピアノ協奏曲へ調は、冒頭から慎重というか「ドン臭い」感じがした。録音もちょっと冴えないねえ。それでも勿体ぶったピアノ入りからしばらく進んでくると、少しずつ「こういう世界もアリかなあ」という感じにはなってきた。ただ面白いのは第2楽章で、トランペットなんかは、なかなか良いニュアンスだし、終盤のクライマックスは「こんなに盛り上げるのか!」というところがあった。エネルギッシュながら切れ味よく、そして重くない第3楽章も充分楽しめる。第1楽章の冒頭を聴いたところでCDを止めないで良かった。


2017年1月20日金曜日

ウィリアム・シューマン:弦楽四重奏曲第4番

William Schuman, String Quartet No. 4 (1950), Juilliard String Quartet (Columbia ML 4493, LP)

 カップリングはIngolf DahlのConcert a Tre (1947) 。タッシもこのダールの曲を録音していたはず。

W. シューマンの第4は、これが唯一の録音ではないだろうか。 Harmonia Mundi FranceにはLydian Quartet が3曲録音しているが、4番は含まれてなかったはずだ。その4番の最終楽章には、第3交響曲のエネルギッシュな感じは残っているが、その他の楽章は、6番交響曲以降の作品 につながっていく渋い作風だ。過渡的な存在なのだろうか。

YouTubeにジュリアード四重奏団による演奏があった。これはコロンビアのLP音源(モノラル)とはライブ(ステレオ)の演奏だ。



2017年1月16日月曜日

ピストン:交響曲第3番 (ハンソン指揮、1954年録音)

ハワード・ハンソン指揮イーストマン・ロチェスター交響楽団 米Mercury MG 40010(LP)
ピストン:交響曲第3番(ハンソン盤)

クーゼヴィッツキー音楽財団による委嘱。1947年の夏に完成。ピストン(1894~1976)の音楽は、基本的に機能和声を使っているようには聞こえない。しかし、独自に調的な音の中心を作ろうとしていることは確かだ。レコードの解説書には、ピストン自身が、それぞれの楽章の調を明示している。

壮大な第1楽章は、ドラマ的な構築力に長けていて、聴き応えのある音楽。第2楽章は、三部構成によるスケルツォ。エネルギッシュな主部と、ややエキゾチックな感じの副部(ハープの伴奏が印象的)との、面白い対比が楽しめる。第3楽章は、定石通りの緩徐楽章。しかしテンポには何度か揺れが あり、着実な主題展開を披露しているようだ。ダイナミクスに関しても、巧妙に、しかしきっちりとした積み上げがあり、冒頭からは考えられない程の、思いきった広がりが見られる。第4楽章は、ピストンお得意のパワフルなフィナーレ。オーケストレーション(ドラムの使い方など)に特徴がある。シンコペーションの多用も、すっかりお馴染み。

ピストンの音楽には、カラフルなオーケストレーションはそれほど見られない。しかし手堅い構成と力強さで、無駄のない作品を書く。

ハンソンの演奏は、メリハリを利かせ、各楽章の性格を引き出すことに成功している。

なお、三浦淳史氏は、この作品を三楽章形式としているが(『音楽芸術』11巻10号 [1953年10月])、楽章は4つある。

YouTubeにも同音源がアップロードされていた。

2013年7月14日日曜日

バーバー 弦楽のためのアダージョ (1) ストコフスキー リハ動画

たまたまみつけた動画です。情熱的なバーバーのアダージョです。ストコフスキーのリハーサル動画自体が珍しいかもしれませんね。

2013年7月4日木曜日

ロイ・ハリス 交響曲第3番 (トスカニーニ、1940年)

アルトゥーロ・トスカニーニ指揮NBC交響楽団 伊dell'Arte CD DA 9020 

トスカニーニらしく、きりりと締まった聴き応え充分の演奏。<田園風>の部分はノーカットである。(執筆日不明。2005.05.06.改訂、2013.7.4.改訂) 

YouTubeでも、このCDからではないと思いますが、トスカニーニによるハリスの3番を聴くことができます。

Prophets of the New

Sonyから20世紀音楽のLPがシリーズ化してCDになるようです。

この中からいくつかアメリカ関連のタイトルを抜いてみますと、次の2つがあります。

Feldman: Rothko Chapel, For Frank O'Hara / Williams, Gregg Smith Singers
Carter: Variations For Orchestra, Double Concerto, Piano Concerto / Jacobs, Rosen, Lateiner

RCAのThe New Music(マデルナ指揮の音源)にはEarle BrownのAvailable Forms Iも入っています。

https://www.facebook.com/pages/Prophets-of-the-New/170146279804966

2013年6月30日日曜日

ロイ・ハリス:交響曲 第3番&第4番《民謡交響曲》(オールソップ指揮)

マリン・オールソップ指揮コロラド交響楽団、同合唱団 Naxos 8.559227
録音:2005 年1月

Naxos Music Libraryへのリンク→http://ml.naxos.jp/album/8.559227

ハリスの第3交響曲にはアメリカの大地を感ずる素朴で粗削りなイメージが強い。バーンスタインの演奏で親しんだリスナーには特にそうだろう。しかしオールソップはしっとりした抑揚の中で、ハリス作品で見逃されがちな洗練されたニュアンスを、和声の独特の移り変わりや、それによる細やかな情感の変転に見出す。アメリカ交響曲の最高傑作の一つとされるハリスの3番が、これほどまでに穏やかに響くとは思いもしなかった。

単一楽章の民謡メドレーとして書き始められ、合唱付ファンタジーに仕上がった《民謡交響曲》も同様のアプローチ。変拍子によるダンスは生命力につながりこそすれ、野卑になることはない。ハリスは生前から録音に恵まれた作曲家だったが、晩年はその名声が後退したため、10番以降の交響曲は未だに聴く機会がない。今後ナクソスが交響曲全集を作り上げていくのが楽しみだ。なお歌詞(翻訳なし) はナクソスのサイトからダウンロードできる。(2006年7月執筆)

2017年8月22日追記:第3交響曲はカットなしの演奏。

2013年6月29日土曜日

ロイ・ハリス:交響曲第3番 (ストリックランド)

ウィリアム・ストリックランド指揮ウイーン交響楽団米Desto DST-6404(LP)
Naxos Music Libraryへのリンク→http://ml.naxos.jp/album/9.80695

バーンスタイン盤と同様のカットがなされている。私がハリス作品を初めて聴いたのが、この音源だった。藤原良久さんの司会によりNHKで5日間にわたってゴッチョークからルーニングまでのアメリカ・クラシック音楽の歴史を辿る番組があり、その時に放送されたも。数年後、同じ藤原良久さんの司会で、ガーシュインの特集が組まれた時も、この録音がアメリカ音楽史を飾る作品として紹介された。

それ以来このLPを探した。かつてはお茶の水のアパートの一室にあったレミントンというお店に注文を出したりもした(番号まで覚えていて、店員の方に驚かれた記憶がある)。結局見つけたのは、1991年だったか、神田三省堂で行われたレコードフェアだった。

という訳で、個人的に想い出深い音源である。 さて、カップリングは、ウィリアム・シューマンの《アメリカ祝典序曲》(風呂のなかで桶をひっくり返したような音だ!)とセッションの《ブラック・マスカーズ》。シューマン作品については、これやキンドラー指揮の録音では、面白さが分らないだろうな、と思う。

なお、ナクソス・ミュージック・ライブラリーでは復刻された同音源が聴ける(上記リンク参照)。演奏者名は、アメリカン・レコーディング・ソサエティ響となっているが、Desto音源のオリジナル盤が American Recording Societyというレーベルから出ており、オーケストラの名前も仮面になっていたものと思われる。(01.1.13.執筆、02.9.6.、05.05.06.改訂、2009年1月15日情報追加)。